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Exhibition Parallelより「Let it be」
 

伊集守輝  IJU MORIKI
沖縄生まれ。ビートルズやイサムノグチが活躍する時代に青春時代を送る。
絵を描く仕事に携わりたいと思いながらも20代は営業などの仕事をこなすサラリーマン生活を送る。
やがて、その想いはやがて大きくなり漆器の絵付けの仕事を手伝うようになる。
30歳になるころ、県の工芸指導所にて木工の技術を身につけ、日本各地の漆器の産地を点々と移り住み見聞を深めた。
その後、沖縄へ帰郷、工房を構え家具製作や内装工事、漆器などの仕事を本格的に始める。

全国の公募展などにも積極的に応募し、世界中から多くの応募があるサントリー美術館大賞で入賞したことで
伝統工芸からアートの領域へと変革する。この頃、多くの立体造形(オブジェなど)を作り、ELLE DECOをはじめ各メディアでの露出が多くなる。

現在は、日常の中のウツワに目を向け、食器や花器など小さなものづくりをはじめている。

Awards
沖展 奨励賞 ・日本クラフト展 入賞・ ジャパンデザインアワード 入賞・
朝日現代クラフト展 入選 ・サントリー美術館大賞展 入選 etc.

Works
伊集守輝の作品伊集守輝の作品伊集守輝の作品伊集守輝の作品


 

食卓の中に風景をつくり出したい。

沖縄には伝統工芸のひとつとして漆器がある。
その歴史は古く、琉球王国時代14~15世紀頃に始まり祭事や献上品として重宝されてきた。
その制作行程は、素地や塗り、絵付けなど様々な専門の職人が関わることで完成していく。
漆を何度も塗り重ねることから制作期間も長く、必然的に高級品となっている。

この高級で扱いが大変だというイメージが、漆器離れを加速させ、伝統への危機感を覚えていると伊集さんは語る。
「伝統は、現代の生活様式に合わせて変革していくことが重要」と、素地から絵付けまで、すべて自分で作り込み、
自由で楽しいカタチを生みだしている。
漆器の強みである、割れにくく、軽い上に高級感があるという特性をもっと伸ばすように、素地にも工夫を凝らす。

陶器のように気軽に扱えるウツワ「漆器」がテーブルを彩る。
陶器では、なかなか出せないという漆の鮮やかな赤は食欲を引き立てる。
屋根瓦をイメージして作ったというウツワに、鰆の塩焼きを盛れば魚の美味しさが増すだけでなく、焼き魚に品格さえ感じてしまう。
自由な刷毛目も楽しい。

取り扱いも、水でさっと洗い流して柔らかい布で拭くだけの気軽さである。
ただ気をつけることは、陶器のように水につけたままにしないことと念を押している。

それさえ注意すれば、食欲を増進させる漆器を、食卓に仲間入りすることができるはず。

今後も木だけでなく軽い素地に使い、不思議な感覚になる器なども制作していくという。
売る場や見る場をもっと増やして行く事で、一般的に漆器を浸透させ後継者も増やしていきたいと意欲をみせる。

漆器は、分業によって成り立つということから量産的な仕事も視野にいれつつ、
今後も伝統を感じさせながらも、今の時代にあった自由で楽しい作品づくりをつづけていきたいと意欲を見せている。






(上段)段ボールを地に漆を塗った猪口 | 花器 | 端材で作ったフレーム
(中段)並行をコンセプトにした照明 | ひょうたんからできた猪口 | 皿
(下段)並行をコンセプトに制作した作品 Parallelシリーズ

 
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